ゴッホの模写 2
ゴッホは、このラザロに対して自分自身の顔を与えています。
ラザロばかりではありません。
ドラクロワの『ピエタ』の模写においては、十字架からおろされたキリストの顔にまで自分の顔を与えているのであって、死とそれからのよみがえりという主題が、ゴッホにとって、いかに痛切なものであったか見てとることが出来ます。
もちろん、その背後には、アルルでの破局的事件に始まる一種の死があったとみていいでしょう。
糸杉とともに、サン・レミでのゴッホの重要な主題となったのは、「オリーヴ」です。
彼は、糸杉やオリーヴは、オランダにおける柳の木にあたり、「ちょうどそれと同じ重要な意味を持つ」と述べています。
1889年の秋には「おそらくぼくはいつか、ひまわりの黄色におけるように、このオリーヴ畑からぼくの個性的な印象を描き出すだろう」と語っています。
やがて彼が描き出す数々のオリーヴの作品は、糸杉の場合と同様、彼以前には誰も描いたことのないオリーヴを描きだしています。
もちろん、彼がオリーヴを主題としたことには、それがプロヴァンスの典型的な樹木であることばかりか、聖書のオリーヴの園の観念があるのでしょう。
そのくろずんだ緑の葉にも、苦痛に身をよじっているような曲がりくねった幹や枝にも、ゴッホ自身が言うように「荒涼たる調子」があり「凄絶さ」がしみとおっています。
しかし、『ラザロ』の模写と同様、ここにもキリストの姿はみられません。
そして、キリストのかわりに、ここでもまた、時として太陽が描かれるのです。
« ゴッホの模写 | メイン | 国際結婚をするなら »